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35、本心①*
暗闇の中に響く、悲痛な声。
拒絶と懇願の言葉を繰り返した果てに、その声は再び甲高く響き渡る。
一人の美しい少年に、何人もの大人の男が襲いかかっていた。
誰もが一糸纏わぬ姿だった。
組み敷いて、制圧して、ひたすら欲望をぶつける。
少年がどんなに拒絶しても懇願しても、男たちは行為をやめなかった。
それどころか、勢いを増すばかりだった。
もう何度目かも分からないぐらいに体を貫かれて、少年は再び悲鳴を上げる。
それが啜り泣く声に変わると、男たちの下卑た笑い声がこだました。
終わることのない狂宴。
その様は、憐れな羊が一匹、ライオンの群れに放り込まれたかの如くだった。
「な……」
惨い光景を前にして大きく目を見開く。
男たちに蹂躙されている少年、それは楓だった。
目の前で、楓が狂った男たちにひたすら嬲られている。
その中には、浦坂実や中岡恭志の姿もあった。
楓が泣き叫ぶほどに、男たちは愉しそうに笑った。不快な笑い声だった。
「や、やめろ……! お前ら、やめろ……!」
悲しみと怒りで気が狂いそうだった。
すぐにでも男たちを蹴散らして楓を助けてやりたかった。
しかし、なぜか体を動かすことが出来なかった。
そうして響く、血を吐くような悲鳴。
あれだけ男たちに穢されても尚、その姿は美しかった。
揺れ動く白い肌の艶かしさに、ごくりと息を飲む。
──その時、楓の顔がこちらを向いた。
「っ……!」
生気を感じない虚な目に捉えられる。そして──
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