7、愛情ゆえの心配①

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7、愛情ゆえの心配①

掃除当番と補習とで、普段より遅い帰宅になってしまった。 普通に考えれば、高校生なら8時だろうが9時だろうが何てことはないのだろう。 しかし、父子家庭で家事を一手に引き受ける楓はそうも言ってられない。 掃除、洗濯物の取り込み、食事の支度……どの手順でこなそうかと頭の中で考える。 (とにかく、急いで帰ろう) 何よりも大事にしたいのは、康介を出迎えることだった。 刑事という職業柄、彼の帰宅時間は一定ではない。 早い時も遅い時も、帰れないことだってある。 どんな時であっても、「お帰りなさい」と言って出迎えられるようにしておきたい。 補習でいつもより遅くなったこの日、楓は急いで自宅に向かった。
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