48、(終)そして……

1/2
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ

48、(終)そして……

「あれ? 指輪、復活したんですか?」 警察署にて、高倍が康介に声を掛けてきた。 康介の左手に光る指輪の存在に目敏く気付いたのだ。 「少し前から指輪をしなくなってましたよね」 「ああ……ちょっと修理に出してたんだよ」 「へえ、そうだったんですか。  てっきり、亡くなった奥さんに対して区切りを付けたんだと思ってました」 「そんなことを思ってたのか」 「もしくは、新しく意中の相手が出来たのかと」 「ははは、面白いことを言うな」 高倍の指摘は当たらずとも遠からず。 康介は内心ギクリと心臓を鳴らしていたが、適当に笑って誤魔化した。 「でもまあ、楓くんのこともあるし。  今の藤咲さんには新しい彼女を作る余裕なんか無いですよね」 「それ以前に、俺は楓一筋なんだよ。新しい彼女なんか必要ない」 「うわあ……相変わらずっすね」 苦笑いする高倍に白銀の指輪を見せつけて、康介は仕事に戻っていった。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!