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48、(終)そして……
「あれ? 指輪、復活したんですか?」
警察署にて、高倍が康介に声を掛けてきた。
康介の左手に光る指輪の存在に目敏く気付いたのだ。
「少し前から指輪をしなくなってましたよね」
「ああ……ちょっと修理に出してたんだよ」
「へえ、そうだったんですか。
てっきり、亡くなった奥さんに対して区切りを付けたんだと思ってました」
「そんなことを思ってたのか」
「もしくは、新しく意中の相手が出来たのかと」
「ははは、面白いことを言うな」
高倍の指摘は当たらずとも遠からず。
康介は内心ギクリと心臓を鳴らしていたが、適当に笑って誤魔化した。
「でもまあ、楓くんのこともあるし。
今の藤咲さんには新しい彼女を作る余裕なんか無いですよね」
「それ以前に、俺は楓一筋なんだよ。新しい彼女なんか必要ない」
「うわあ……相変わらずっすね」
苦笑いする高倍に白銀の指輪を見せつけて、康介は仕事に戻っていった。
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