麒麟の鳴き声

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─────────・・・・・ 「タダ!!正仁!!しっかりしろ!!」 「今救急車呼んだからな!!!」 「やべーよ・・・血、止まらねーよ!! タダ兄!!!タダ兄!!!!!!」 頭も腕も痛い・・・。 目の前には黒い空が広がる・・・。 その中で、幼馴染み達が死にそうな顔で俺のことを見下ろしている。 拝殿で参拝をした後に滑った。 拝殿の数段の階段から、信じられないことに滑って転んだ。 酔っ払っていたからかもしれない。 でも、酔いは覚めた・・・。 酔いはすっかり覚めた・・・。 頭を強打し、酔いはすっかりと覚めて、信じられないくらいに頭はスッキリとしている。 “どうしてあんな女の子に必死になっていたのだろう” そう思えるくらいに恋の酔いも覚め、目が覚めた。 だから今はとにかく会いたかった。 会いたくて会いたくて、仕方なかった。 「正仁!!!死ぬなよ!!!!」 タカラの男前な顔が恐怖で歪んだ顔をしている。 そんなタカラに俺は口を開いた。 小さくだけど、口を開いた。 「俺、絹枝のことが好きだったんだ・・・。 ずっと、ずっと、好きだったんだ・・・。」 初めて親友にこのことを告白をすると、タカラは号泣をした。 「そんなこと知ってる・・・!! 商店街の奴らは全員知ってる・・・!! 絹枝も含めて全員が知ってる・・・!!」 「そうか・・・。 絹枝は、知ってたのか・・・。」 だから“ブッサイク”と言われていたのかもしれない・・・。 俺に愛の言葉を囁かれたくないから、そう言っていたのかもしれない・・・。 そう思いながら、俺は目を閉じた・・・。 それでも絹枝に会いたかったと思いながら・・・。
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