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「長峰さん!!長峰正仁さん!!
聞こえますか!!!?」
耳元でそんな声が聞こえてきて、俺はうっすらと目を開けた。
俺の身体は何も動いていないはずなのに、目の前の空は動いている。
黒い空からは季節外れの雪がヒラヒラと舞っていた。
そんな空はすぐに消え、建物の中に入っていった。
そこが病院だと分かるのに時間は掛からなかった。
「正仁!!よかった・・・!!!」
タカラが死にそうな顔で俺のことを見下ろし、勝手に動かされている俺の身体に必死についてきている。
「親父さん、絶対にまだ呼んでねーからな!?
勝手にいくなよ!!!」
そう言われ、この前死んでしまった父さんのことを思い浮かべながら俺は頷いた。
あの女の子との結婚を最後の最後まで反対し、結婚をした後は1度も俺に会ってくれないまま死んでしまった父さんのことを。
後悔の気持ちしかない中で、声が聞こえた・・・。
声が、聞こえた・・・。
「長峰?」
聞き覚えしかないその声に、俺は勢いよく起き上がった。
そしたら、いた・・・。
天使が、いた・・・。
白衣の天使が、いた・・・。
俺を驚きながら見ている天使がすぐに大笑いし、そして、言った・・・。
「あんたって、本当にブッサイク!!!!」
キツくて口の悪い白衣の天使。
その天使から、俺の・・・俺達の天使が大雪の日に舞い降りて来てくれるのはもう少し先の未来の話。
「え!?何!?何で号泣!?」
“正しい仁を成せ”
昔から父さんと母さんに言われ続けていた言葉が震え上がってきた。
この頭に、この身体に、この心に震え上がってきた。
そんな俺が“ゆきのうえ商店街の麒麟”と呼ばれるのももう少し先の未来の話。
だから、とりあえず今は・・・
号泣させてくれ・・・。
end........
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