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美しき獅子は白金の鬣より輝きの滴を舞わせて宙に踊り、その涼しき翡翠に映る無頼は靴底への口付けもそこそこに丸太となり地へ転げた。
『この領内で、被虐の涙は私が許さん』
輝きの君、陽光、胸躍り心とらえる私の総て。
『あなたのおなまえは・・・・・・』
振り返る眩い笑顔はこう名乗る。
『私か、アーニャと呼ぶが良い』
・・・・・・と、こんな語彙を彼女は持ってはいないのですが、そう語りたいのよと言わんばかりにこれでもかとお星さまを詰め込んだ、闇でも照らしそうな輝きの瞳で私の親友は、その時の事を今でもことあるごとに拙い言葉を並べて言うのです。
最近ちょっとだけ有名になったここ、レフレヴィー領でも領境に位置するど田舎極まりないディナッカは人口も多くなく、手の入っていない森や山の多い小さな村。
私こと、コレット=シャロワンの姉妹とも言え親友であるシャンティス=フロイアーテは物心つく前にそれぞれ別の場所で保護され施設で育てられました。
シャンティスと言いましたが、彼女も私もまだ口の回らぬ小さな頃にそう発音することが出来ず、サンチス、それが色々あってサッチンに落ち着き、皆が彼女をそう呼んでいます。
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