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一歩目
僕はその日、何よりも煌めく一番星を見つけた――。
毎日のようにSNSにはありとあらゆる情報が溢れかえっていて、流行りが変わりゆくのもあっという間。
ついこの間までみんなが話題にあげていたものは、知らぬ間に過去のものになってしまう。
内気で、世間の流行りに疎い僕が周囲の会話に馴染めるようにと始めたSNS。
東雲律というアイドルがツアーをするだとか、JTOというオーディション番組が話題を集めた歴代参加者を集めてファイナルオーディションを開催するだとか、今日もネットの海は賑やか、話題に満ち溢れている。
適当にぽちぽちとおすすめを押し続け、ゆらゆらと情報の海を漂っていれば、自覚のないままに時間が経っている。
趣味とは言えない、言いたくない。別に面白いとか気に入っているアカウントがあるとかそういうのじゃない。最早それは義務のようなものだった。
高校三年生の春、受験生の年になってもそれは変わらなかった。勉強の合間に流行の勉強。いったい僕は何のために学校に行っているのだろう。
影が薄いくせに、いる意味なんてないんじゃないのと思う。
だけどSNSの中にはいろんなひとがいる。顔が綺麗なひと、絵の上手いひと、化粧品が好きなひと。みんな自分の好きなことを好きなようにアピールしていて、羨ましかった。それと同時に僕だって何かあるんじゃないかって、そんな浅はかな期待を持つようになった。
何かひとつでいいから、特別になりたい。
持たざる者の願いはそれだけだった。
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