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その翌日、泣き腫らした目は一晩では元通りにならず、開口一番に太陽くんに心配されてしまった。
「大丈夫?」
「そんなに酷い顔してるかな……」
「うーん、近くで見たら分かるかな」
「そっか……」
自然とため息が漏れてしまう。
それを聞いた太陽くんは、また「ほんとに大丈夫?」と声をかけてくるけれど、その理由を聞いてこようとはしなかった。
「……何があったかは聞かないんだね」
「夏芽が言いたいなら聞くけど、無理に聞き出して嫌な思いさせたくないし」
「……イケメンかよ」
「友だちなんだから、それぐらい普通だろ」
当たり前みたいに言う同級生があまりにもいい奴すぎて、またちょっと泣きそうになった。さすがに大学生にもなって人前で泣くのは恥ずかしいから我慢したけど。
「太陽くん、好き……」
「はは、俺も〜」
そんなゆるい会話のおかげでほんの少しだけ気が紛れる。
大丈夫、まだ手遅れじゃない。
今なら思い出にできる。
胸の奥が痛みに悲鳴を上げるけれど、何枚も絆創膏を貼って蓋をしてしまえばきっと大丈夫。
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