ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方

11/13
前へ
/13ページ
次へ
次の日学校で詩織は、興奮した様子で爽の机の前の席に座った。 「爽!昨日の綺麗な人誰?親戚?」 爽は肘を机につき、めんどくさそうに呟く。 「父の大切な人」 「じゃあお母さんになるの?」 「知らない。俺関係ないから……」 詩織は不思議に爽の顔を覗き込む。 「爽はあの人嫌いなの?」 「そうじゃないけど……」 詩織は、爽が不満そうな顔をして、机に寝そべるのを見つめる。 「あ……お母さんは1人だけとか?」 爽は居心地が悪く寝そべったまま顔を隠した。 「当たり?まぁ確かに1人だけどさ。お父さんはあの人の事好きなんでしょ?別に爽のお母さんの変わりって言われたわけじゃないんだし、私なら分けて考えるかも……」 爽は顔をあげ詩織を睨みつけた。 「わかってるよ!だから父に好きにすればいいって言ったし」 「じゃあ何でそんな顔してるの?」 また爽は顔を机に伏せ寝そべる。力無い声が聞こえた。 「母さんは1人だけだって言った……」 詩織は、爽を見下ろし頷きながらため息をついた。 「そっか……爽も少し後悔してるんでしょ?しょうがないよ。難しい問題だよ」 爽はあれから罪悪感が芽生え心に引っかかっていた。 別に父と付き合わないで欲しいとは思っていなかった。ただ、母さんは1人なのに2人になると考えれば母さんを否定された気持ちになる。 ただ、俺の一言できっとあの2人はいい方には向かわないとわかっていた。時間が経てば経つ程、それが罪悪感に変わる。 幼馴染の詩織に指摘され、何だか少し冷静になれた。確かに大切な人と紹介されただけで、結婚するとは言われなかった。後々そうなるかもしれないが、やはり俺は父の付き合いをも否定した事になる。 家に帰ったら父と少し話しをしてみようと思った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加