ラジオパーソナリティの大人の恋の進め方

6/13
前へ
/13ページ
次へ
あれからlineが陸から何度も入るが返事はしていない。返事をしてしまえば、自分の欲に溺れるのはわかっていたし、陸から離れられなくなる事はわかっている。 2週間ほどたち、ラジオでリスナーからのメールを紹介した。 「ペンネームエンペラさん。私は初恋の人と再会してしまいドキドキしてしまいました。また好きになってしまいそうです。そんな経験ありますか?」 桜愛はこれを読んで珍しく言葉に詰まった。 ーーこれは答えずらい。自分も今気持ちを払拭している状態なのに。 「そうですね〜。初恋の人ってやはり特別ですよね。私も先日初恋の人に会いました。確かにドキドキするし、もともと好きだった人は嫌いにはなれない。でも今まで離れていた時間に、作り上げられた人間関係や世界がある。大人になったら、なかなか好きだからって動けないんですよね。エンペラさんが若いなら話しは別です。大人でも初恋の人が運命の人かもしれないですし、お互い相手がいないなら好きになってもいいと思います」 桜愛は私情が入りすぎて何だかソワソワした。 両手で頬を挟みマイクを見つめる。 いつもと違う桜愛をガラスの外からスタッフが見つめていた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加