七不思議になった友人

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「最後の一つ。学校の七不思議の中で、最も重要視されている伝説の七番目。知ったら、死んでしまうとも噂されている究極の謎。この学校の七番目を君は知ってる?」  ケイタの人差し指が俺に向けられる。温度差を感じる状況の中でも、俺は「知らない」と呟いていた。 「君は信じてないよね。分かる。所詮は子供だましな七不思議だって思ってるんだろ。僕が立証してやると言っていたが、結局出来てないんだからね。君を責めるつもりもない。だけど、これで君もきっと、信じることになるはずだ」  それからケイタはゆっくりと、掌を胸の前に上げて、そこにもう片方の手でブイを作って当てた。 「その七、在学中に死んだ生徒は――」  ケイタが満面の笑みを浮かべる。俺は言葉を発する事も出来ず、凍り付いたようにケイタを見つめる。 「たった一人の生徒の前だけに、現れることが出来る」  ケイタが言い終えると同時に、ガラッと扉が開く音がした。 「おい、堂島」  俺は肩を跳ね上げ、入り口の方を向く。そこには担任の尾崎が立っていた。 「一人で何してるんだ。早く帰れよ」  それから視線が俺の目の前にいるケイタではなく、その机に置かれた一輪挿しの百合の花に向けられる。 「気を落とすなとは言えない。辛いときは話なら聞くからな」  労るようなセリフを残し、尾崎が立ち去っていく。 「なぁ、本当だっただろ?」  ケイタが嬉しそうに体を前後に動かし、椅子をガタガタ揺らす。  静寂の教室に、椅子を動かす音とケイタの笑い声がこだましている。  だけどその音は、自分にしか聞こえていないようだった。
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