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修二は無類の猫好きできれいな白い猫を看板猫にしている。
常連客にはこの猫をお目当てに訪れる客も少なくない。
(私もその中のひとりなんだけどね)
数年前に迷い猫を保護したことをきっかけに、第三日曜日に店で保護猫の譲渡会を開いていたりと、なにかと猫と縁が深い。
「私と暮らすためにアルバは意地でも店に居残ってなさいよ」
言い聞かせても人間の言葉は分からないだろう。
「こら、行き遅れになりそうなこと言うな。ちゃんとした人に引き取ってもらえたらそれで十分だ」
店と同じ名前を付けられた白猫・アルバ。スペイン語で夜明けや日の出を意味する名前。保護する間の一時的なものとして付けた名前は完全に定着した。
「看板猫がいなくなったら困るじゃないですかぁ」
「代わりに招き猫でも置いとく」
アンティークショップに純和風の招き猫――似合わない。
同じ日本猫でも美人な看板猫のほうが絶対にいい。
「アルバは見た目が綺麗だから、いつも貰い手はすぐに決まる。そのうち本当に大事にしてくれる人に出会える」
「白い毛並みに、青い目のめったに見ない美人さんだもんね」
「実は青い目がマズいんだけどな。人間が呼びかけても反応しないし、触られるのを極端に嫌がる。不安になったときはパニックになって大きな声で鳴いたりするからトラブルになりやすい」
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