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Phase 00 衝動
自分はなぜ生きているのだろうか。僕は、それが分からなくなる時がある。そして、その度に自分の腕にカッターナイフで傷を付けてしまう。
そしてまた、自分の腕に傷を付けてしまった。流れ出る赤い血が、僕の白くて細い腕を汚していく。
環境を変えたくて豊岡から芦屋に引っ越したのに、結局何も変わらないじゃないか。雨音が、鳴り響いている。この鬱陶しい雨音が、僕を自傷行為へと駆り立てるのだろうか。やがて雨は激しくなって、雷鳴も鳴り響くようになった。自分の情けなさに反吐が出る。
このまま死んでしまったほうがマシなのだろうか。そう思って、僕は自分の頸動脈を斬りつけた。
――その後のことは、覚えていない。
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