それから

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彩は和也のことをまだ好きだ。でも、元通りになれるとは思ってもみなかった。あんなにも優しく向き合ってくれた彼に「考えさせて」と言ったまま返事もせず、関係を自然消滅させたのだ。自分の小ささが嫌になる。合わす顔などなかった。 しかし、やがて彩は、それまでは考えたくもなかったカメレオンの生態に興味を持つようになった。最初は半分目を閉じつつYouTubeの解説動画を遠巻きに見るところから始まり、やがて休日に悠馬を連れて動物園に足を運ぶようになった。それはまるで、古傷を敢えて抉るような贖罪の日々だった。
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