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実のところ、悠馬から「先生」の話をきいてから、幾度も妄想していたのだ。
その先生が、和也だったら。和也だったらどんなにいいか、と…。
彩は足が絡まり転びそうになりながら玄関へと向かった。
玄関で靴を脱ぎ、腰をかがめて丁寧に向きをそろえる。そしてこちらを向いて立ち上がる男性…
それは中年に差し掛かった和也だった。
「…本当に和也…? 和也なの…?」
「お久しぶり」
「えっ、なになに!? まさか先生、母さんと知り合い!?」
悠馬が目を丸くして言う。
「うん。僕が昔、プロポーズした相手だよ。やっぱりか。悠馬君と苗字が同じだから、そうだったらいいな、なんて思っていたんだ」
和也は柔らかな笑みを浮かべた。
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