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彩は和也に対する申し訳なさで頬が紅潮するのを感じていた。そんな彼女の様子を見て、和也は怒らせたと思ったのか
「最低だよね。直接きかずに、財布の中を見るなんて。本当にごめん」
と頭を下げた。
最初に疑念が湧いたのは、干支の話をした時だという。
「前に彩に干支を聞いたとき、言い淀んだことがあるよね。君は頭の回転が速くて、いつも質問には即答だろ?」
― 僕は子年生まれ。彩は?
― ……えっと…牛年生まれよ
微妙な会話のテンポの乱れに、引っ掛かりを感じたのだと言う。
その後も、ある年齢の頃に流行っていたものに食い違いがあったり、ごく幼少期のニュースのはずなのに克明に記憶していることがあり違和感をおぼえた、という。
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