αならよかった

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「あ……っ」 彼が小さく叫び、背中に指が食い込んでくる。 枚田は彼の喉仏を啄みながら、作業以上の執拗さを込めて、追い詰めた。 指の間に伝う痕跡に、口角が引き攣る。 後悔と同時に、ひっそりと覚えた興奮。そんなざらざらとした舌触りの悪い感情も、州の叫びによってかき消されていく。 「あっ、マイ、いく……っ」 「いいよ。出しちゃいな」 彼が体を震わせ、弛緩していくのに合わせて、枚田は残留物を掻き出した。 州がこちらに身を任せている間に、ティッシュで手や体を拭き、それから背中を撫でてやる。 「どう。少し落ち着いた?」 ふたたび向き合い、尋ねてみるが返答はない。 目のふちはまだ赤く熱をもっていて、彼をほんのりと幼く見せた。 ふと小学生のころの面影を見た気がして愛しさが募り、ふたたびキスをする。 「ん……」 州も唇を開いて、すぐに応じた。 軽いつもりで仕掛けたのに、いつのまにか彼にリードされ、今度は枚田が押し倒される形になった。 「待って!」 パンツのホックを外され、さすがにうろたえる。 しかし、下着の中に手を入れられると、抵抗のしようもなかった。 「勃ってんじゃん」 それから手で数回扱かれると、もう欲望に抗うことが出来なかった。 枚田は肩で息をしながら、なんとか持ち堪えようと踏ん張った。 枚田が唇を噛み締めるのを見て、州がにやけたような気がした。目も閉じていたから、薄目程度にしか直視できなかったのだ。 影がゆらめき、彼がまたがってくる。 枚田はようやく目を開けて、手首を掴んだ。 「州、だめ……」 朦朧とするなか、体を起こそうとしたが、うまく力が入らない。 それでも快楽に搾り取られてしまった気力の余りを、どうにかして指先に込めた。
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