周期

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周期

手放した意識をどうにか手繰り寄せて、重たいまぶたを開く。 すると、くたくたになった州が重なってきて、まだ汗ばむ肌同士が名残惜しそうに張りついた。 彼の柔らかい髪の毛が、自身の胸に散らばってこそばゆい。 枚田は毛先を指で弄びながら、彼の呼吸が整うのを待った。 「大丈夫?」 尋ねると、彼は小さな顎を枚田の胸につけながら一瞬、こちらを見た。 「うん。おさまった」 それから体を離して、隣に寝転んできた。密着していた肌が空気にさらされ、ひやりとする。 彼が隣に来ると、枚田はすぐに体の向きを変えた。 向き合ってようやく、彼の唇を好きにする権利を与えられる——これこそ枚田が待ち焦がれていた時間だった。 「大丈夫?」 「なにが」 「最近、発情のサイクルがどんどん短くなってない?」 州の脚を自分の脚で挟み、体温を分け合う。 彼の肌はひんやりしていた。 「そうかな」 州は興味がなさそうに言った。 これまで、彼の発情は2ヶ月に一度ぐらいの頻度で訪れ、いざ始まると1週間、下手すれば10日以上は長引くのが普通だった。 その大きな波が、今は小波となって頻繁している印象だ。 最近では1週間のうち1、2回発情するものの、一度満たされてしまうと、波が引いてしまうらしい。 以前のような、獣のような交わりから、より人間的なものに近づいたように思う。 ——身体的な負担は減ったが、気掛かりはうっすらと、枚田のなかに降り積もっている。 あらゆることがぼやけた時間は瞬く間に過ぎ、気づけば目の前には就職活動という壁が立ちはだかっていた。 「州はどういうとこ受けてるの」 「外資系のコンサルとか——ほかにも色々見てるけど」 「コンサル? それって具体的になにすんの?」 州は質問には答えず、鼻で笑ってからシーツに頬をつけた。 「マイこそどうなんだよ。いつも家にいるけどちゃんと就活してんの」 「してるよ! 一応は……」 途端、ボリュームダウンした。 彼は大学で与えられた課題以外にも、語学や経済などについて日々学んでいた。 本当はどこかのタイミングで留学したいと思っていたそうだが、体質のために叶わなかったらしい。それについて知ったのは、ごく最近だった。
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