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「あぁ……っ」
キッチンのシンクのふちに額を擦り付けながら、州が唸った。
震動で、食器用スポンジを固定していた吸盤のプラスチックが落下する。
「ん、あっ、あ……!」
崩れそうになる彼の体をしっかりと支え、それからより深く、強く打ち付ける。
州は快感に支配されて、シンクと枚田の腕とに完全に身を委ねた。
「いく、あ……っ」
嫉妬は快楽に溶け合うことはなく、変わらず枚田のなかを並走し続けている。
今はどうにかして、彼を独り占めしてしまいたかった。
「州、中に出すよ……っ」
州が体を震わせた直後、枚田も達した。
腰を引き寄せ、彼の体内に独占欲を注ぎ込む。
それでもなお、嫉妬や不安が消えることはなかった。
どうすれば州と一緒にいられるのだろう。ずっと変わらずにいるには、一体どうしたら。
枚田は彼の背中に覆い被さり、何度か長いため息を吐いた。
ぼんやりとしていたせいか、無意識に言葉に出していたらしい。
「妊娠させられたらいいのに」
瞬間、州の体が強張り、自分の発した言葉の軽率さに気づく。
繕うよりも先に、突き飛ばされた。
「州……」
その場に尻もちをついたまま呼びかけるが、応じることはない。
彼はコンロの前に立つと、あろうことかこちらに向かってエビフライを投げつけてきた。
さすがにもう熱くはなかったが、衣の油染みがスウェットのあちこちに付着した。
「州、待っ……」
彼は無表情のまま、皿にあるすべてを淡々と投げつけてくる。
枚田は腕で目元を覆いながら、時にはぶつかり、時には身をすり抜けていくエビの姿を見届けた。
皿が空っぽになると、彼はバスルームに向かい扉を閉めた。
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