生前

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* 州との再会は、意外にも電話をしたその1カ月後に訪れた。 彼は唐突に、枚田の目の前に現れ、そして消えた。 その際、いくつか言葉も交わしたはずだが、その重みや、彼の匂いは人混みにさらわれて、やがて彼の存在ごと消していった。 枚田はいまでも、あれは幻か生霊かなにかだったのではと思うことがある。 いや、あそこで枚田の知っている彼は死んだという表現がふさわしいのかもしれない。
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