再会

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「だからって、今度は俺の結婚もぶち壊そうとしたの? そうやって、わざと大切なものを天秤にかけさせて、今みたいににやにやしながら、俺が州を選ぶのを見られたら——それで満足だってこと?」 肩を押さえつけ、ベッドに押し倒したものの、彼からの抵抗はほとんどなかった。 白いシーツに、漆黒の髪が散らばる。 滑らかな額から前髪が滑り落ち、眉が露わになるが、眉間にも動揺ひとつ浮き出てはいなかった。 「大体、解放してやるってなに? 俺を縛ってるつもりだった? そりゃ昔から事あるごとに試されてはいたけど、俺はいつだって自分で選んできたよ。別に州の指図じゃない。だからこれからも、自分のことは自分で決めるから」 一方的に吐き出すと、ようやく州の唇がかすかに動いた。 「そんなにウホウホわめくなよ」 「は!?」 「マイゴリラ」 揶揄いながら見せたのは、子どものような笑顔だった。 その無邪気さは、枚田の不満を根こそぎ摘み取ってしまう。 「なんだよ、もう……」 彼の視線がこちらの唇あたりを捉えたとき、枚田はたまらずに彼の後頭部に手を当てて引き寄せた。 触れた瞬間、州もこれを待ち侘びていたことがわかって、途端に胸が熱くなる。 とにかく彼にふれたくてたまらなくなり、枚田はパーカーの中に手を入れて、肌を弄った。 やはり痩せたようだ。 「んっ」 肋骨の窪みをひとつひとつ、指で扱いていく。 それから慌ただしくボトムスをすべて脱がせると、彼の脚をかかえて、腿に舌を這わせた。 尻から、さらにその奥へと舌を差し入れて、ほぐしていく。州は身じろぎしながらも、体を震わせた。 「あっ、あ……」 時々体をぴんと反らしたかと思うと、ぐにゃりと弛緩する。 すでに反応しきっている熱の中心には一切触れてやらずに、指と舌で、ひたすら意地悪く後方を刺激した。 「ん、あっ……」 手で顔を隠す州を見て、枚田は確信した。 たぶん、あれから誰とも体を重ねていないのだろう。 彼の体はかたく、恥じらいと緊張の抑揚が見られた。反応の仕方を忘れてしまったかのように、声や動作、そのすべてがぎこちない。 いくら刺激が欲しくても、自ら手を伸ばさないところが、いかにも彼らしく、ただひたすらに愛おしかった。 「ああ、あ……っ」 「州、いれてほしい? ここ」 瞬間、金木犀の香りが鼻をかすめた。 先ほど嗅いだアロマよりも濃く、粘り気のある甘い芳香。 欲望による疼痛に耐えながら、枚田は肩で呼吸をした。
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