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馥郁の午後
「待てって」
州は車を1時間ばかり走らせて、道の駅に車を停めた。
枚田は先にシートベルトを外し、彼がサイドブレーキを引くのをじっと待った。
無事に停車すると、犬のように彼に飛びかかる。
州は手のひらで枚田の額を押さえつけて抵抗したが、やがて窓に押し付けられ、堪えきれない愛情とでプレスされてしまった。
隣接しているRVパークに、幸い人気はなかった。
「州……」
それをいいことに彼のシャツのボタンを外すと、さすがに抵抗された。
「前から丸見え」
「だって、我慢できない……」
本当ならすぐにでも飛びつきたかったのだ。
しかし、小回りのきかない特殊な車両のせいで、隣同士にいながら1時間も焦らされたのである。
彼の上にのしかかり、ボタンを全て外したところで、肌に吸い付くのを止められてしまった。
「俺はまだ聞いてないんだけど」
「え?」
「マイから」
それから、膝を曲げて股間を圧迫してくる。枚田は刺激に負けて、口をつぐんでしまった。
「ここおっ勃てるよりもまず先に言うことあるんじゃないの」
催促しながらも、言わせる気があるのかどうかが怪しい。彼の刺激は枚田を追い詰め、理性を搾り取った。
「州、だめだって。やばいから……」
「なにが? 踏んでるだけじゃん」
下半身は隠れているので、外からはまずなにをしているかわからないだろう。
焦る一方で、妙な興奮が芽生え始める。
それから彼は靴下を脱いで、足の指先で触れてきた。
親指とかかと、それから中指をつかって扱かれ、圧迫される。そのもどかしい刺激に息が切れた。
「服が邪魔」
指示されるがままにボトムスを下ろし、いよいよ直接触れられると、堪らず声が漏れた。
「う……」
「お前、相変わらず俺に踏まれるの大好きだな」
そういえば、過去にもこんなことがあった。
あの時もこうしながら、州はどこか恍惚としていた。
「待って。いく……っ」
先走って滑った先端を足のひらで転がされると、枚田は早々に果てた。
「早すぎ」
彼の指の間に、吐き出したものが飛び散る。体を震わせ、息が整うと——込み上げてくるのは羞恥だけだった。
州はつま先を枚田の太ももに擦り付け、付着した体液を拭った。
「州、体拭きたい……」
枚田が訴えると、州は顎で後方をしゃくった。
どうやら、後方の居住スペースでやれということらしい。
とりあえず衣服を軽く整えると、枚田は先に座席を立った。
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