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特別授業は、後半の道徳のパートに移った。
内容は主に、性差別の歴史や考え方についてで、ここではさすがに誰しもがクールダウンしていた。
前半に受けた衝撃が今になってやってきたような、パニックにも似た薄気味悪い沈黙だった。
教師はその沈黙を好都合とばかりに、これまでの「第二の性」をめぐる時代の変遷を語り出した。
昔——枚田達の祖父母らがまだ子どもだったぐらいの時代までは、第二の性による差別が激しかった。
なかでも、社会的に優位に扱われたのはαだ。
今のように共学になったのはわずか10年前のことで、それまでは第二の性によって学校が分類されていたらしい。
表向きには、今みたいに抑制剤の投与が一般的ではなかったため、性的なトラブルを防ぐのが目的だったというが、実際は相当な差別があったらしいのだ。
また、職業も性ごとに分類され、地位が高い職業にはαしかつけなかったという。
一方で、最もひどい扱いを受けたのはΩだ。
Ωは、交配によりαの子どもを妊娠しやすい性別として、男女問わず子を産むのが仕事と役割付けられた。たとえ学や才があっても社会的に認められず、大成するのは難しかったらしい。
また、抑制剤の供給が充分でなかったため性犯罪も横行し、医療の未発達により、Ω男性も無理な出産によって命を落とすことが多々あった。
そんなことが繰り返されて、ついに一部のΩ達が差別の根絶や平等を訴え始めた
熱心な活動家達の功績により、次第にΩの能力や権利が認められていき、差別は徐々に薄れていったというわけだ。
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