01.神様のイタズラみたいなプレゼント

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01.神様のイタズラみたいなプレゼント

 翔大はどんな花を選ぶんだろう。どんな花が好きなんだろう。  鏡の前で何度も前髪を整える帆香の頭に浮かぶのは翔大の姿。  帆香はこれから翔大と隆太郎のお見舞いに行く予定。翔大は病院に行く前に花屋に寄ろうと帆香に言った。一緒にお見舞い用の花を選ぼうと。  翔大と一緒に花屋に行く。それから花屋で一緒に花を選ぶ。それだけでも帆香にとっては願ってもないチャンス。その上、翔大の方からそう誘ってくれた。  考えてみれば翔大と二人で一緒にどこかに出かけるのは初めて。ドキドキが止まるわけがない。なぜなら、帆香は翔大のいちばん大切な人になりたいから。  そりゃもちろん、隆太郎の入院をチャンスと呼ぶのをためらう気持ちもある。  隆太郎は雨の日に自転車で全力疾走して、濡れた歩道で思い切り自転車ごと滑って骨折した。雨ガッパも傘も持っていなかったから、降り出した雨から逃れようと全力で自転車を漕いだらしい。  だから隆太郎のことは気の毒だけど、隆太郎が自分で事故ってくれたおかげで、帆香は翔大と二人で出かける機会がめぐってきた。  どう考えても、これは翔大ともっと近づくための、神様のイタズラみたいなプレゼントだと言ってもいいかもしれない。
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