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俺はフカフカの土の上に寝転がり思い出した。そう言えばニュースキャスターがわざとらしく目を輝かせ、今日は流星群が最接近すると言っていた。
俺の視界の先で、さっきから光の線が飛び交っている。
たしか、深夜の二時半頃からピークと言っていた。生臭い手で袖をまくると、たしかに俺の時計の針はその時刻をさしていた。
もうそんな時刻になっていたことに驚いた。夢中で穴を掘っていたから、気付かなかった。
掘り返した土は秋の夜にしては温かく、まるで人肌のようだ。
「まさか、生きてないよな? おまえ」
土の中に呼びかけ、一人で笑う。
そんなわけはない、確実に息の根を止めたのだ。
思いのほか、罪悪感はなかった。むしろ達成感が俺を包み込んでいた。当然のことをしたまでだ。
明日になれば全てがわかる。きっとバイト仲間は上っ面だけ悲しい顔をして、心の奥で笑うだろう。
そして探すはずだ。誰がこんな素晴らしいことをしてくれたのだろうと。
俺はヒーローだ。自らの手を汚してまでみんなを救ったんだ。
きっと、誰もが俺のことを見直してくれる──。
「そんなわけないよな」
薄く息を吐いた。このことを知る者はいないし、誰にも知らせることはない。
そういうところが俺の善い所であり、悪い所でもある。
「さてと……行くか。じゃぁな、店長さん」
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