ルァイドンニューウェーヴ

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月虹眼鏡蛇(げっこうめがねへび)と言う毒ヘビがいて、その神経毒が人工臓器を精製するヒントだと言う話だった。ファイナルスパイスはつまり、人の血液から臓器を生み出す、月虹眼鏡蛇の神経毒を真似たものだった。熊谷さんは幾度も月虹眼鏡蛇に腕を噛ませ、ファイナルスパイスが為に日夜励んでいた。「あーっ!苫実はファイナルスパイス要るんだろう?俺はファイナルスパイスの為にこの腕を天に差し出した。神経毒に耐性もあるしな…。」熊谷さんは岩石を片手で持ち上げる握力1tはある常人を遥かに凌ぐ健康体の持ち主であり、況してや人の血液をゼリー状にしてしまう月虹眼鏡蛇の神経毒に耐性まであるのだ。ファイナルスパイスは人の為に臨んでいるに違いない。「あっははっ!熊谷さんはファイナルスパイスを誰の為に欲するんですか?」玄田恂は問うた。「自分の為かな?あっははっ!一寸先は闇って言うよな。」熊谷さんは応えてくれた。「もちろんそうでしょう。ファイナルスパイスは皆の為にあるべきだ。」達哉も誇らしげにコンセンサスを持った。「あっははっ!月虹眼鏡蛇の神経毒は単為る神経毒ではなく、内臓の老朽化を防ぐ働きがあるんですよ!」私は目を輝かせて言った。「それって死ねって意味か?不老不死=絶対的な死を意味するよな。空輝…眼鏡蛇の神経毒は人の血液をプルンプルンにするんだぞ?基本じゃないか?あっははっ!馬鹿だよな。B-A-K-Aを逆から読むとアーカイブっ!なんちゃってっ!」熊谷さんは途轍もない洒落をブチかまし、私達は爆笑していた。結局、ファイナルスパイスは苫実から貰うことに為るのだけども…。 -完-
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