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第28話 それは突然の再会
水の上だった。
何処までも続く水面。
漣もない。私が歩くときに波紋が水面を揺らす程度だ。ここは夢ではあるけれど、ただの夢ではない。深層世界──。
龍神族なら魂同士が干渉可能となる。
(魂が引っ張られた──?)
ふと私の前に人影が現れた。
純白の上衣に白のズボン。聖職者と思わせるその服装に、白銀の長い髪が風で揺れた。整った目鼻立ちに、黒い縁の眼鏡をかけた偉丈夫は嬉しそうに微笑む。
「やあ、結月」
「…………」
親し気に刀夜は声をかける。
私をここに呼んだという事は、少なくとも向こうは私の気配に気づいていたからこそ、夢という形で干渉してきたのだ。
私は身構える。
「刀夜。貴方は何を考えているの? 最初は皇国イルテアをただ単に滅ぼすのかと思っていた。けれどイルテア国の歴史を聞いて、考えが変わったわ。あの日、私たちと下界に降りる時点で、貴方の目的は達成していたのでしょう?」
「僕の目的? 結月は何だと思っているんだい?」
まるで出来の悪い生徒に質問をするかのような物言いに、私は彼を睨んだ。
「陽兄との約束。人と龍神族が共に暮らす世界を作ろうとして──作り上げたんでしょう?」
「うん、正解だよ。けれど──僕は君たち兄弟ほど人間に対して寛容ではないし、あの事を許してはいない。今まで人間が君たちに対して何をしてきたのか、どんな扱いをしてきたのか。僕は忘れないし、許しはしない」
「それは──」
「そう、昔の時代の──昔の話だ。今を生きている人たちは関係ない。なんて僕には言えない。人間は人間だ。いつの時代でも、屑はいる」
「だから──滅ぼすの?」
彼は眼鏡の淵を上げると、小さく笑った。
「しないさ。そんなことする必要もなくなった。……ねえ、結月。この世界で魔物は常に溢れ続けているのはなんでだと思う? 今までは数十年、または数百年単位でしか顕現してこなかった魔物が──皇国イルテアでは毎年のように、それこそ常に出現するのか。その仕組みについて気づかなかったかい?」
「…………」
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