カルガモクエスト

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「鳥になりたいなら、願いを叶えてやろう」 幻聴だ。神様が本当にいるなんてありえない。だが声はなおも語りかけてくる。 「親から自由になりたいのだろう?」 泥に沈み込んだような今の生活と、大空を羽ばたく鳥。歩実は静かに目を瞑り、手を合わせた。目を開けたときには空を飛んでたりして。なんて、そんなわけないか。 そう思っていた。 だから、体が水に浸かっている感触に歩実は飛び上がった。それは文字通り、である。歩実は水面から飛び立ち、池のほとりに着地した。翼をたたんで振り返ると、子ガモたちが池から上がろうとしていた。 さっき見たときより随分と目線が下がっている。不思議に思って池を覗き込むと、母ガモが覗き返していた。 「……カルガモ?」
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