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諒子さんの同級生に、Y美さんという生徒がいた。
クラスも違い、特に接点があったわけではないが、なぜかY美さんは、諒子さんに好意を抱いていたらしい。
「自分でいうのもなんですが、わたし、けっこうモテてて。最初は、その1人かなって思ってたんです」
整った顔立ちで、ちょっとボーイッシュな雰囲気のある諒子さんは、女生徒からの人気も高く、後輩に告白されたことも1度や2度ではなかった。
「けど、その子は少し変わってるというか、おかしかったんです。休み時間とか、いつも物陰から見られてたんですけど、その目つきが異常で……」
だいたいの子は、諒子さんを憧れの眼差しで見つめることが多かった。
しかしY美さんの視線は、どこか粘っこくて陰気で、それでいて口もとにはいつも恍惚とした笑みが浮かんでいたという。
「不気味でしたが、実害はないので放っておきました。でもある日の放課後、気持ち悪いことを言われたんです」
その日。日直だった諒子さんは、誰もいなくなった教室で日誌を書いていたそうだ。
すると、急に視界の隅に人の脚が入ってきた。顔を上げると、Y美さんが机の前に立っている。いつものように、歪んだ笑みを浮かべて。
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