王妃と画家

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 彼らに囲まれているのではなく、彼らを支配する女の肖像だと、正しくフロリルダに伝わっただろうか。 (おまえさんがその気になれば、運命をも従えられますよ、王妃さま。だからこっちの肖像画で十分でしょう?)  手を下ろして確認するように彼女を見ると、国王にも女官にも背を向けたままの彼女は、セヴランの手のうちの肖像画そっくりの微笑を彼だけに見せた。 「――いいわ、わたくしの真の肖像画はおまえが持っておきなさい」  その唇が、声にならない声でつぶやいた。  遠ざかった宮廷画家への未練など吹き飛ばすようなその微笑と声に、セヴランは改めて礼をした。 《了》
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