王妃と画家

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 国の最上層の画家であることを意味するその地位は、まさにセヴランが追い求める成功そのものだった。  この好機は何がなんでもつかんでみせる――セヴランは、静かな自信をうかがわせる笑みを作った。 「おそれながらわが筆にて、その方の真実の姿を描き出すことに全身全霊を捧げてまいりました。世間の方々がそうした私の仕事を評価なさってくださるのでしたら、身に余る光栄と存じます」 「うむ、ポー伯爵からもそう聞いている。内に秘めた魂までをも描かれた、とな」  セヴランはこれには答えず、ただうやうやしく礼をした。  今回国王に自分を推挙してくれたらしい、ありがたい顧客を思い出す。 (騎士姿を描いてやった奴か)  美食の果てにぶくぶくと太ったその貴族を、セヴランは体格のいい勇ましい騎士として描いた。  たしかに顔の中身は貴族自身だが、体のほうは長時間立っていることもできない彼のかわりに立たせた侍従のものだ。  それを先祖の鎧と上衣(シュールコー)に覆わせることで、貴族自身もほんの少し痩せればこうなりそうだという印象に仕上げた。  セヴランは特にそうした技術を身につけることに腐心し、実際にこうして効果もあげている。 (自分の平凡さが我慢ならないおまえさんも、隠れた美貌の持ち主に仕上げてさしあげますよ、国王陛下)
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