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「なー、ラック。お前俺の棚にぶつかったりしたか?」
「……知らん」
午後の仕事を終え部屋に戻ってきたレイズンは、自分の棚が斜めになっているのを見て、ベッドに寝転び本を読んでいたラックに尋ねた。
「本当にか? ……何だか端にヒビがいっているんだが。この部屋で誰かと取っ組み合いの喧嘩でもしたのか」
冗談半分、ちょっとからかうようにそう尋ねると、
「知らねーって言ってるだろうが! 俺のせいにするなよ」
ラックが不機嫌そうに吐き捨て、レイズンに背を向けた。
(え? なんで怒っているんだ? 昼までは機嫌よかったのに)
ラックの機嫌が恐ろしいくらいに悪い。レイズンはこれ以上言うと言いがかりをつけるなと喧嘩になりそうだと思い、追求するのをやめた。
「なあ、怒ってるのか。どうした? 午後の仕事で何かあったのか」
パートナーといえど、与えられる仕事によってはバラバラに行動する。ラックは武器の補修、レイズンは農作業と、今日は二人とも違う場所での作業を言い渡されていた。
とはいえラックが真面目に武器を磨いていたとは考えにくい。一緒に武器庫の担当になった者らと、ボードゲームか何かで賭け事をやって遊んでいたに違いない。そこで大負けしたとか、誰かがセコい手を使って勝ったとか、どうせそんなことだろうとレイズンは思った。
すぐに機嫌を直すだろうと、レイズンは棚の位置を元に戻すとラックのベッドの端に座り声をかけた。
「なあ、どうしたんだよ。何かあったのかって」
「…………」
宥めるように優しく問いかけて見たが、ラックは無視を決め込んでいるようだった。
「なあってば。……まさか俺のせい? 俺何かしたか?」
なんど問いかけても無視するラックに、もしかして原因は自分なのかと、レイズンは不安になってきた。
心当たりがないが、ここは謝っておくべきか。
「…………今日、お前誰といたんだよ」
背中を向けたまま、ラックが低い声を出した。不機嫌な声音だがやっと口をきいてくれたと、レイズンはそれでも少しホッとした。これで理由が分かれば、宥めて機嫌が直るからだ。
ラックはこれでも子爵家の三男坊で、甘やかされて育ったのか、少し傲慢で自己中心的なところがある。平民出身のレイズンからしてみれば、貴族のお坊ちゃんなんだからまあこんなもんだろという感じだ。
不真面目で大雑把。仕事は手を抜き、酒や賭け事大好きという騎士らしからぬ放蕩ぶりに、パートナーになった当初は扱いに困ったが、ようやく彼も落ち着き、仕事も訓練も真面目にやるようになっていた。
しかしたまに仲間といざこざを起こしては、こんなふうにレイズンを困らせるのだが、今日はいつもよりさらに輪をかけて機嫌が悪い。
「おい、誰といたか聞いてるんだ」
ラックは体を起こすと首を少しだけこちらに傾け、睨むような目でレイズンを見た。
「誰とかって、今日は畑での仕事だったからロイとリヒターと……あと、他の隊の奴らもいたけど、名前は知らん。それがどうしたんだ」
「……ふん、まぁいい」
「お前こそどうしたんだよ。仕事で何かあったんじゃないのか? 俺に言ってみろよ」
「…………」
なるべく優しく言ってみたつもりだったが、ラックは答えない。
「なあってば……あっ」
ラックの肩に手をやり、体をこちらに向けさせようとしたら、バシッと手を叩かれた。
「……舐めろ」
「は?」
「俺の機嫌を直したいんだろ? 俺のを舐めろと言ってるんだ」
「わ」
ラックは体をこちらに向けると、レイズンの頭をつかみ、無理やり自身の股間に向けて引き倒した。
彼の膝の上に頭を押さえ込まれ、やるしかない状況に抵抗は無駄と、内心大きくため息を吐いた。
レイズンは腕力でラックに勝てた試しがない。
そしてこんな日のラックは、エッチもいささか乱暴なのだ。
「わ、分かったよ、分かったから頭から手を離せ」
こうなったら彼の望むとおりにやってやるしかない。レイズンはあまり口でやるのは得意じゃない。
いつも下手くそだのなんだのと言い出し、最後は喉の奥に何度も突っ込まれて、吐きそうになってムセて終わる。
だからいつもは軽く慰めたら後ろに……という流れになるのだが、今日はラックが満足するまでやらされるだろうと覚悟を決めた。
レイズンが素直に従う意思を見せたのをみて、ラックはウエストの紐を緩め自身のペニスを引っ張り出した。
まだ半勃ちで、先が少し皮に覆われたそれをレイズンは手に取り、先端を露出させる。今日は喉の奥を乱暴に突いたりされませんようにと祈りながら、すべすべとした柔らかい先端を舌で絡めながら口に含んだ。
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