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1 後処理くらいはしてほしい
「愛してる」
レイズンはいつものように愛している男の下でその言葉を聞いた。
「んっ……あっいいっ、……お、俺も愛してる……っ」
王立騎士団の下位騎士であるレイズンは昼間から、恋人兼仕事のパートナーでもあるラックに、騎士団寮の自室にてベッドに組み敷かれていた。
愛してるが口癖のようになってしまった彼の言葉を聞きながら、レイズンは後孔奥深くに突っ込まれたガチガチのペニスから放たれた白濁を受け止めた。
「う……あ…………あ、ラックいやだ! まだ抜かないで!」
最後の最後まで出し切るためゆさゆさと数回腰を振り、最後の一滴まで搾りきったラックは、ペニスをズルリとレイズンの中から引き抜いた。
……まだレイズンはイッてもいないのに。
「ふう」
中出ししたくせに後の処理をする素振りもなく、ラックは早々とレイズンの隣に寝転び、唇に軽くキスをした。
「俺、まだイッてないんだけど」
チュポッと音を立てて唇が離れると、レイズンが口を尖らせ、恋人を睨んだ。
「ん〜そっか、ごめんな。最近お前イクの遅いんだよな。遅漏にでもなったか……イテテ」
ハハハと厭味ったらしく笑うラックに、レイズンが鼻をひねり上げる。
「ね、手でもいいからイカせてよ」
「もうそろそろ午後の演習が始まるだろ? すぐにイケるのか?」
「ラック次第だろ! お前が俺に集中してくれればすぐにイケるんだから、手ぇ抜くなよな」
ニヤニヤと遅漏ネタを引きずるラックにムッとしながらも、彼の手を引き寄せ自身のペニスを握らせた。
さっきだってイク寸前だったのに、ラックが自分本位に動くからイクタイミングを逃したのだ。責任とれと言わんばかりに、レイズンはラックのやんわりと握り込まれた手のひらにペニスを擦り付けた。
このところ、ラックはレイズンより自分がイクことだけに集中している節がある。
(昔は逆だったのになあ)
ついこの間まではレイズンをイカすことが前提で行われていたセックスが、今ではまるでただの自慰の道具扱いだ。
「あ、んん……」
シコシコとラックの手がリズミカルに動き出すと、レイズンは腰を緩やかに動かしながらラックに唇を差し出した。
ラックもそれに応え、唇を合わせて舌を差し入れる。
「……レイズン、気持ちいいか」
キスの合間にラックが確かめるように尋ねる。
「ん、ああ、気持ちいい……っ」
はーはーと荒く息を吐きながらレイズンは、堪らないとばかりにラックに舌を絡める。
それでもなかなかイケないレイズンに痺れを切らしたのか、ラックが尻に中指を差し込んだ。
グリっと中のしこりを抉るように指でなで上げると、レイズンの腰が跳ね上がり、体をくっと硬直させる。
「うあ……んん……そこっイクッイク!」
それを数回繰り返したところで、レイズンはぐっと身を固くしてラックにしがみつき、ビュルッと吐精した。
ラックとレイズンはこの国の王立騎士団に所属している。とはいえ騎士ランクは低く、所属は最も下位の小隊だ。この小隊では、もしものときのために単独行動は禁止され、必ず二人一組で動くよう指示されている。
そのため入隊時にはパートナーを自動的に割り振られるのだが、ラックとレイズンが出会ったのもそれだった。
もちろんプライベートまで仲良くしろとは言われていない。ただの仕事上でのパートナーというだけであり、平民貴族が入り乱れたこの小隊で、仲が悪かろうがなんだろうがきちんと仕事さえこなせればそれでいい。仕事として割り切ることが重要だ、ということらしい。
だがラックとレイズンは違った。仕事だけではなくプライベートでも恋人として、パートナーになったのだ。
仕事してセックスして一緒に眠る。
別にどこかに一緒に行こうとか、他の男と話をしないとかそんな縛りはない。いつもセックスが中心で、男同士は気楽さが一番だというラックの言葉どおり、レイズンもラックとの付き合いはそんなもので十分だと思っていた。
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