第1章 1

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 それからも、酒井は頻繁に高橋に関しての惚気投稿をするようになった。  『一ヶ月記念日!』『美咲と映画を観に行った!楽しかったー』『美咲可愛い』など、そんな可愛らしい内容だ。  どうやら酒井は、高橋と付き合ってから彼女のことばかりをツイッターに書いているようだった。    正直、意外だなと思った。  俺の勝手なイメージだが、酒井はいかつくてオラオラしていて、いかにも”男!”って感じの奴だ。だから、そんなあいつがそこまで女子に夢中になっているというのはなんだか意外だったのだ。    果たして、高橋という女に、そんなに魅力があるのだろうか。  たしかに、見た目は可愛い方だと思う。でも、あの馬鹿っぽいところや運動神経の悪さを見ると、完璧な女子ではないことは明らかだ。まあ実際に直接話をしたこともないから、なんとも言えないけど。    きっと同じクラスにでもならない限り、俺と高橋が関わることはこの先もないだろう。  高橋って子、俺の知り合いと付き合ってるっぽいよ。と牧野に教えるてやると、悔しそうにしていた。  「くっそー」なんて言っていたけど、彼は決して高橋に恋をしているわけではない。牧野はただ単に可愛い子が好きで、無駄に積極的なだけだ。その証拠に、つい最近彼女ができた。    でもべつに羨ましいなんて思わない。俺は、彼女なんていらない。  ……今のところは。
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