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第1章 2
マフラーに顔をうずめて、寒空の下を歩く。ふと見上げると、肉眼でもよくみえるほど沢山の星が瞬いていた。
俺が暮らすこの街はそんなに都会ではない。むしろ、どちらかと言えば田舎寄り。そのおかげか、夜は星がよく見える。
綺麗だなー、なんて思いながら、マネージャー達からもらった手作りのチョコレートが入った袋のうち一つを開けて、一口つまんで食べた。
今日はバレンタインだった。
学校では、部活のマネージャー達の他に、クラスの女子数人から義理チョコをもらった。朝は家で、母親と妹からもらった。十分な収穫だった。
「うま」と小さく一人呟いたら、少し強めの風がぶわっと吹いてきて、寒さが痛くて顔をしかめた。
まだ俺に、彼女はできていない。
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