第1章 2

2/4
前へ
/200ページ
次へ
俺が所属するサッカー部は、部内の誰かに彼女ができると、その彼女をブスとか性格悪そうだとか言って、何かとけなす習性があった(これは俺の学年だけに限っていて、先輩達にそんな傾向はなかった)。    もちろんこの間彼女ができた牧野も「お前の彼女なんかヘアスタイル変じゃね?」とからかわれていた。もちろん俺も、皆と同じようにからかった。    正直なところ、そこに僻みという感情は絶対にあると思う。しかしそれ以上に俺達には、まだ中学生の頃のガキっぽさが抜けていないのだ。  そんな自覚はあるものの、皆に歯向かう勇気なんて俺にはない。合わせて笑っているのが一番無難だということが分かっているから。      今の俺にとって部活は、人生の全てと言っても過言ではないくらいだ。もし仮に彼女ができたとして、それでサッカー部の皆にからかわれたりされたらと考えると、そんなの耐えられない。あんな風にからかわれるくらいなら、彼女なんてずっとつくらず、こうしてからかう側にいた方が絶対にいい。  そしてそんな変な意地を張り続けている俺は、やっぱりまだ子供なのだろう。    まあそれを言い訳にするわけではないけど、俺が女子と親密に関わることもなければ、彼女をつくるきっかけすらなかった。    でも、こんな俺でも、彼女が本気で欲しくないわけではない。月九の青春ドラマみたいなのは、正直憧れる。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加