第1章 2

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 それでも今の俺は部活が一番だし、サッカー部の皆とわいわいしているのが楽しい。  だから、今はこれで十分満足なのだ。  家に帰り、夕飯を食べ、温かい湯船に長く浸かった。冬のこの寒い時期は、風呂が最高すぎる。    風呂からあがったあとは、いつものように自分の部屋に入り、ベッドにダイブする。  そして恒例のようにツイッターを開く。    開いてすぐに、酒井の投稿が目に入った。  『美咲、ありがとう』という文章のあとにハートマークが付けられていた。あのいかつい酒井がハートマークだなんて……そのギャップに少し笑ってしまう。    チョコレートの写真が添えられて投稿されていた。今日はバレンタインだから、彼女である高橋から本命チョコをもらったのだろう。  しかしそのチョコレートは、俺がマネージャーやクラスの女子からもらったような手作りのものではなく、小さな固形のチョコが二十粒くらい入った「買ったチョコ」だった。    なんかちょっと意外だ。  俺は勝手に、高橋のことを女子力が高いだろう思い込んでいた。可愛らしいあの見た目的に、なんとなく。  手作り、しない系なのか。案外、サバサバしているのか?    ……と、勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になっている。そんな俺は、完全にただの暇人だ。
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