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第1章 3
穏やかな風が吹く。
桜は満開の時期を通り越し、早くも散りかけている。桜吹雪が舞う住宅街を通り抜け、俺は今日も学校へと向かう。
朝はまだ少し肌寒いけど、春の日差しは心地が良い。
俺達は高校二年生になった。
二年も、また牧野と同じクラスになった。
しかし残念ながら、牧野以外にサッカー部のやつはいなかった。もともとサッカー部自体、そんなに部員の多い部活ではないから、仕方がない。
俺は結構人見知りをするタイプだから、とりあえず牧野がいることにホッとした。
牧野の他にも、去年も同じクラスだったやつらがちらほらといた。その他は知らない名前ばかりだったけど、まぁなんとかなるだろう。
廊下に大きく貼り出されたクラス表を見たとき、まず最初に自分の名前を見つけた。
そしてその次に見つけたのは、牧野の名前……ではなく、
『高橋美咲』
その四文字を見たとき、少しの驚きと同時に、謎の緊張感が俺を襲った。
その前からももちろん緊張はしていた。新学期になり新しいクラスが始まるということで、心なしかお腹も痛かったし。
でももし『高橋美咲』の名前がなければ、ここまで緊張はしていなかったような気がする。
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