第1章 3

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「あー、牧野くん!同じクラスだったんだ!いぇーい!」  一際大きな声が、教室の入り口付近から聞こえた。よく通る、はきはきとした声。    そちらに視線を向けると、高橋美咲が満面の笑みで席に着いている牧野に声を掛けていた。隣には友達らしき女子がいる。    うわ、でた。高橋美咲だ。俺は心の中で呟いた。    牧野は嬉しそうに「そうそう!いやー嬉しいわ〜。よろしくなー!」とでれでれしていた。そして彼らは何やら盛り上がりだした。   早くも新しいクラスに溶け込みつつある雰囲気のあいつらを見たら、俺だけ出遅れたか?と少し不安になった。    やがて俺達の担任となるおっさんの教師が入ってきて、全員が急いで席に戻った。  高橋はだらだらとマイペースに自分の席を探し、俺の隣に着席した。    ……まじかよ。まさかの、隣の席かよ!      そしてホームルームが始まり、担任がぺらぺらと喋り始める。 「今のこの席順が、テストを受ける時などに座ってもらう基本的な席となるので、よく覚えておいてください。ちなみにこの席順は、先生が適当に決めました」    当たり前のようにそう話す担任に「なんでだよ!」と心の中で全力で突っ込んだ。きっと全員が、口には出さないものの同じことを思ったはずだ。
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