第1章 3

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 次はその後ろの、高橋の友人の番になった。    彼女は名前を「相川結」と名乗った。    前に立った彼女を見ると、少しぽっちゃりしていて、美人というわけではないがとくにブサイクでもない、普通な感じの子だと思った。  自己紹介の内容はほとんど高橋と同じようなもので、自信ありげに、すらすらと適当なことを喋っていた。  彼女も「バカそう」の類に入ると思ったが、バカそうのレベルは高橋の方が上っぽい。      それからも数人が似たような自己紹介をし、あっという間に俺の番になってしまった。  静かに深呼吸をして、自分を落ち着かせる。   「健人ー、頑張れー!フゥー!」  重い足取りで俺が前に出ると、牧野が変な冷やかしをした。  「やめろやめろ」  俺は嫌がるふりをしたが、そのおかげで緊張が少しほぐれたから助かった。  実は前もって牧野に「自己紹介をするとき、俺が前に出たら盛り上げてくれ」と頼んでおいたのだ。何事も、用意は周到に。サンキュー、牧野。
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