第1章 1

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「もっとドラマみたいにさ、可愛いマネージャーが一生懸命応援してくれたらなー。あー、有村架純みたいなマネージャー入ってこねぇかなー」 「いやいや、有村架純みたいな子、まずこの学校にいないから」   「わはは!そりゃそうだ!」  そういえばこの間の有村架純のドラマみた?と俺が聞こうとしたその時、突然何かを発見したらしい牧野は「あ!高橋さんだ!」と叫び、廊下の方へ走って出て行ってしまった。    突然置いてけぼりにされた俺は「高橋」といううちのクラスにはいないその名前に首を傾げ、牧野の方を見た。  でれでれした牧野が向かい合っていたのは、一人の女子だった。見たことのない子だ。  ついさっき「マネージャーが可愛くない」と愚痴をこぼしていた時とは別人のように、彼はにやにやと変な笑みを浮かべている。  二人でなにやら話しているが、その内容までは聞こえてこなかった。    牧野と話していたその女子は、どうやら他クラスの子のようで、背が小さかった。ただでさえのっぽな牧野と並ぶと、余計に小さく見えた。    セミロングの髪の毛は少し茶色がかっていて、離れたここから見てもサラサラなのがよく分かる。顔が小さくて、はっきりとした顔立ちをしている。大きな目が印象的なその子は、牧野の話に愛想良く笑っていた。  なんとなく、感じのよさそうな子だな、と思った。
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