第1章 1

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   それから俺は、廊下や他クラスとの合同授業のときなどに、高橋の姿を度々見かけた。    直接話をしたことはないけど、遠くから見ている限り、なんとなくバカそうだな、と思った。  何も考えてなさそうに、周りの友達とけらけら笑い、ちょこちょこ動いている。見るからに鈍臭そうな子だった。    合同体育のとき、高橋の運動神経の悪さには衝撃を受けた。走り方が、めちゃくちゃ変なのだ。  両手を一生懸命振っているのだが、それに対して足の回転が明らかに遅く、腕の振り方も左右で違っていてかなり変だった。「本気で走ってる?」と思わず聞きたくなるような、遅すぎるスピード。  そのくせに走っている本人の顔はすごい必死な形相で、その顔が面白くて、遠くから見ていた俺は一人で笑いを堪えるのに必死だった。    そんな高橋に彼氏がいたことを知ったのは、七月の中旬。
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