第1章 1

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 放課後、猛暑の中で部活をした俺はクタクタに疲れ切っていた。   家に帰り、家族で食卓を囲んで夕飯を食べ、風呂に入り、自分の部屋のベッドに寝転びスマホをいじる。それが俺の毎日のルーティーンだ。   いつも通りなんとなくツイッターを開いた。するとそこに、高橋の写真があらわれた。  ソフトクリームを片手に、幸せそうに笑っている高橋の写真を『可愛い』という一言と共に投稿していたのは、酒井だった。  酒井と俺は、中学時代にサッカーの試合で知り合った。隣町の他校だったが、道ですれ違えば一言二言話すくらいの関係。いわゆる" ただの知り合い"。  どうやら、酒井と高橋は付き合っているらしい。    酒井は、少しヤンチャな雰囲気で、いかつい顔をしている。ガタイが大きくて、見るからに強そうだ。しかしそんな一見悪そうな見た目とは裏腹に、話すとフレンドリーで優しい。  今は、学力底辺の私立男子校に通っている。ちなみに俺は、一応公立。    俺と酒井はそこまで仲が良いわけではないし、ましてや高橋とは一度も話したことすらない。それでも、一応知っている奴同士が付き合っているというのはなんだか不思議な感じがした。  といっても、べつにそれほど興味はないけど。
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