39人が本棚に入れています
本棚に追加
それについて話したところ、静流曰く、
「セックス下手なんじゃないの? 上手くなれば普通に彼女できると思うよ。綾都は顔いいんだからさ」
と言われてしまった。
あの時この言葉を聞いた瞬間の衝撃は、今でも忘れたことはない。
ただ、それには思い当たるフシが若干あった。
よくよく思い返してみると、今までフラれる前にあった出来事といえば、彼女とそういうことをした時が殆どだ。
(ショック過ぎる……)
そういうことならせめてそう伝えろよとは思ったが、言いにくいこともあるのだろう。
別れ際に決まって言われるのは、
「綾都くんは優しさがない」
だったから。そういうことか。
遠回しに伝えていたということなのだろう。
なんて妙に納得いったのがほんの二ヶ月前だ。
「でもまぁ、今は最初のときよりずっと良くなったよ。最近は毎日気持ちいいしかないし」
「…………」
これ、なんて返せば正解なんだ……?
返答に困る話題に俺は言葉に窮して、静流からマグカップへ視線を落とした。
ふわりと燻る湯気が風に解けていく。
「まぁ、それはいいんだけど」
俺の微妙な心情を察してくれたのか、はたまたただの気まぐれか。
どちらかは分からないが、静流は早々に話題を変えてくれた。
「綾都は彼女ほしいって言いながら、全然女作らないよね? なんで?」
率直過ぎる質問に言葉に詰まる。
確かに最初の頃とは違い、彼女が欲しいという願望は既になくなっていた。
むしろ別の感情が日々、俺の心を毒で侵すように蝕んできて、困っているくらいだ。
その複雑な心境の恨みをぶつけるように少し意地悪な言葉を返した。
「……お前のせいで、女が寄ってこないんだよ。自覚ないのか」
「えー? 俺と綾都はただのセフレじゃん? もともと友達とはいえ、そんなにベタベタした覚えないんだけど」
どの口が言うのだろうか……。
確かにまだこういう関係になった頃は距離感はいつもと変わらなかったように思うけれど、最近はスキンシップも過激になっている気がする。
最初のコメントを投稿しよう!