本当は?

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本当は?

 一人、屋上の端で弁当をつつきながら、青空をぼんやりと見つめる。  薄い雲が穏やかに頭上を流れていく中、小さくため息がこぼれてしまった。  いつもは一緒に昼食を取る静流がいないだけで、なんだか隣がとても寂しく感じる。  元気に話しかけてくる声も、身動ぎすれば触れ合う肩も、今日は何も感じられない。 「…………」  それが、すごく寂しい。 「…………おれ、もしかして……」  静流のことを――。  その考えが頭に浮かんだ瞬間、頬が熱くなった。  は? え? 相手男だぞ?  確かに俺と静流はセフレだったけど、ただそういう関係ってだけで……。  だけど、静流といるとき、体を重ねるとき、最近よく胸の奥に言い知れない感情が溢れ出すことも確かだった。  繫がっている間、今まで付き合ってきた彼女には感じたことがなかった幸福感で満たされて、安心してすべてを委ねてしまいたくなる。  肩が触れ合うだけで心が騒ぐ。  名前を呼ばれるだけで、嬉しくなる。  逆に他のやつと楽しそうに話しているとモヤモヤする。  これが、恋だとするなら――。 「…………俺、やっぱ最低だ……」  弁当箱を脇に置いて頭を抱え込んだ。  自分でもなんとなく気づいてはいた。  俺の中で静流がどんどん特別な存在になっていくことに。  一緒にいたいと思ってしまうことに。  だからこそ、セフレを解消すると言われたとき、とてもショックだったのだ。  そうなれば、もう二度と静流とああして触れ合うことが出来なくなるから。 「……はぁー……」  思わず大きなため息が出てしまう。  こんな気持ち、どうしろというのだろうか。
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