堕ちていく

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堕ちていく

 ただ、消えたい、そう思った。  今日も私はコーヒーを口に含む。  熱くしたはずなのに温度は感じなかった。 「はぁ、私はいつになったら楽しいとか悲しいとかわかるようになるんだろう?」  そう独り言を呟いてみる。  でも、それは誰にも届かない。  なぜなら今、私は一人だから――。  両親を交通事故でなくしてから私はずっと一人。  光が閉ざされた気がした。  両親がいなくなってから楽しい買ったものが楽しくなくなり、何もかもわからなくなった。  自分がこれからどう生きていいかも。  でも、そんな言葉を吐いたって誰にも届かない。  だって、私は孤独だから。  誰か話を聞いてくれる人など居ないから。  ねぇ。  あのぬくもりはどこに言ったの?  光は、どこに行っちゃったの?  もし、私が悩んだ時の道標はどこに消えちゃったの……?  もう……消えて……いいかな?  こんな静かな空間には誰も入ってこないし、誰も目を向けない。  このまま孤独なんだからさ。  だからさ、ちょっとぐらい戻ってきてもいいんじゃない?  もう一度、コーヒーを飲んで見る。  でも、もうそれは冷めていた。  冷めたコーヒーより不味いものは無い。  ……不味い、か。 「私は一生、不味いまんまなのかな?」  そう力なく笑う私の姿はこの静かな空間に溶けていった。
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