バカになりたい

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時刻は0時を回っていた。 メッセージは、ない。 仰向けになり、目を閉じる。 今思えば、ベッドでの彼は いつも以上に優しかったかもしれない。 私と目を合わせて 時に私の髪を撫で 私が求めれば 愛の言葉だって囁く。 指先から 大切な場所まで 彼は優しくキスをした。 私がするキスにも それ以上の愛情深さで返してくれた。 彼は私で満足してくれた。 私の一生懸命な姿に 彼は、いつもありがとうと言ってくれた。 これが上手いかどうかなんて 正直わからない。 男じゃないから? 違う。 だって 私は彼しか知らないから。 彼に喜んでもらうために でも、練習なんて出来ない いつも彼の前で 試行錯誤の繰り返し。 慣れていくなんてない。 私にはわからないから。 私にはないものだから。
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