公園にいる男の子

お母さんは、お父さんに頭を預けてる。
そのうちお母さんも、落ち着いてきたようだ。

どうして、話がなくなったの？
製造の途中で致命的な欠陥が見つかったんだ。
欠陥って？
完成品には、背中に小さく番号がふられるんだけど、なんらかの条件でその番号が消えるらしいんだ。
消えるとどうなるの？
なんでも本人との見分けがつかなくなってしまうらしい。顔もそっくりだから近くから見ても本人かどうかなんて分からないし、あっちのほうは本人の情報をリアルタイムで受信し続けてるから記憶の齟齬も起こらない。
え……。
だからもう製造は中止なって、その会社もなくなったんだ。お金の返済ができなくて、幹部連中全員が夜逃げしたらしんだけどな。

もちろん、ヨータには話の内容はよくわからない。
あの子が、この家に来れなくなってしまったかと思うと、やっぱり悲しい気持ちになる。
うーん。どうしたものかなぁ。