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その子と出会ったのは公園の砂場で、ヨータが手を泥だらけにしなから、せっせとお城を建てているとき。
「ねえ、ボクもいっしょにつくってもいい?」
ヨータは声がした方に振り向くとそこには、ぼくがいた。
まるで鏡に映った自分が勝手に動き出して話しかけてきたような感じ。当然、戸惑う。
それは声をかけた男の子も一緒みたいで、口をパクパクしながら驚いている。
多分、ヨータも同じ顔をしているんだと思う。
「もしかして、ボク?」とその男の子は訊ねる。
「ちがうよ、きみがぼくなんだろ?」とヨータは言う。
二人は近づいてお互いの顔をじっと見比べる。やっぱりなにからなにまで同じ。違うのは、手に付いた泥くらいなんじゃないだろうか。
そのうち二人はなんだかおかしくなって笑い始める。だって、自分と同じ顔をした男の子が動いているのだ。笑ちゃうに決まってる。
「じゃあ、一緒にお城作ろっか」とヨータはその男の子に言う。
「よーし。大きいのを作ろう!」
その日、二人は日が暮れるまで、夢中で遊び続けた。
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