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次の日、ヨータはいつものように公園にいた顔が瓜二つの男の子に声をかける。
「これから、ボクの代わりにおうちに帰ってほしいんだ」
「……もしかして、お母さんと喧嘩したの?」
心で繋がっている男の子はヨータの状況をすぐに理解してくれる。
二人の間に会話なんて必要ないのだ。
「頼まれる代わりに、一つボクからもお願いがあるんだけどいい?」
「もちろんだよ。どんなこと?」
「……その時だけ、お母さんって呼んでもいいかな?」
ヨータは首を傾げる。
全く予想もしていなかったことだったんだろうね。
「それは全然いいけど……」
「ほんとに? ありがとう! じゃあ、いってくるよ!」
男の子は飛び上がらんばかりに喜ぶと、スキップでもするような足取りでヨータの家へと向かって行く。
ヨータには男の子がなんでこんなに喜んでいるかわからない。
それは二人が出会って、初めてわかりあえないことだった。
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